前頭葉に愛を

なかつ(@nktu_pdu)のブログ

感想:オープン・スペース2014展

感想を書くの、1年弱ぶりかよ。


 知人と連れ立って、初台のICC「オープン・スペース2014」に行ってきました。

 ICCNTT東日本が持っている文化施設で、メディアアートを中心とした作品たちを展示しています。メディアアートやデバイスアートが好きな私にとっては天国のような場所と言っても過言ではありません。私が最も好きな芸術家、チェ・ウラムの作品と出会ったのもICCでした。

 今回の「オープン・スペース2014」のどの作品もよかったのですが(かっこよさでは志水児王が一番でした。レーザー光のまっすぐさが揺らぐっていうの、すごくかっこいい)、一番ツボだったのはリヴィタル・コーエン&テューア・ヴァン・バーレンの「ジ・イモータル(不死者)」。人工心肺装置、保育器、心電図モニターなどなど、人の生命を維持するための機械を人間なしでつなげて、血液の代わりに塩水と空気を循環させている映像作品です。チューブの乱雑さと、聞こえるのは動作音だけというアンバランスさ、人間はいないのに何かをモニターし続けている機器たち、とみていると不穏感にじわじわ浸食されるような作品でした。
 ただ、個人的には「ジ・イモータル」には不穏感と同時に、ある種の安堵を感じていました。お互いが接続され、そこでなにかが完結していることに関する安堵というのか、きちんとすべてが管理されていることへの安心感というのか。なんというか、すごい平和だなあと思いながら、私は「ジ・イモータル」の映像を眺めていました。科学技術(運送やインターネット)の発達によって、私たちはだれと彼ともつながることができるし、世界を広く見ることができるようになったけれど、何一つきちんと終わることができないというか、美しいきちんとしたフレームの中にいることができていないような気がして、「ジ・イモータル」の機器たちがなんとなーく美しいような気がしました。アーティストの言いたいところはそこじゃないのだと思うのだけれど、個人的には、そういう気分を味わうことのできる作品があってよかったなと思いました。

 それだけで完結しているといえば、谷口暁彦の「思い過ごすものたち」の電球の作品も、それだけで完結しているメビウスの輪感がよかったです。