前頭葉に愛を

なかつ(@nktu_pdu)のブログ

感想:なにかにつながっている(キュンチョメ個展)

キュンチョメの個展、「なにかにつながっている」を見てきた。
キュンチョメはTRANS ARTS TOKYO(TDUの跡地でやったやつ)で作品を見かけてから、ちょいちょい展覧会で目にしていて、どれもすごく心に残る作品だったので、今回、はじめて個展に行くことになってすごくわくわくした。
岡本太郎賞もとったばかりだし、今いきおいがある感じで、とても嬉しい。(と、勝手に思っている。)

会場に着くと、椅子やらテレビやらが置いてあって、ふすまも設置してあるし、「え? これは入っていいの?」という雰囲気だったけれど(実際、一回入口間違えた)、入ると見事にキュンチョメワールドだった。
全部新作。どの作品もすごく良かった。個人的には、タイトルにもなっている「なにかにつながっている」シリーズが好き。かくれんぼ、映像に出てくる女の子の格好、要素はわりかし「かわいい」のに、やっていることが全然かわいくない。そのギャップがとても重かった。あとは鯉のぼり男もとても好き。私も、昔はすごくかわいい子になるとか、素直な子になるとか、立派な子になるとか、悪意は一切なく期待されていたんだろうなあと思うと、無性に泣けてしょうがない。

そういえば、一緒についてきてくれた知り合いがキュンチョメの作品ははじめてだというので、「chim↑pomの系列の人だよ」と説明していたのだが、この個展を見終わったあとで、キュンチョメの作品はchim↑pomの作品よりわかりやすいと言っていた。確かにその通りだなと思った。
chim↑pomもキュンチョメも、心をえぐる社会的なメッセージの含まれた作品を多く制作しているのだけれど、chim↑pomはあまり自分語りをしない。しかもその存在感は非常にビビッドだ。キュンチョメは、「ぼく」「わたし」といった、鑑賞者である自分からそう遠くないところにいる人物が、体験したことをこちらに語っている感じがする。だから、わかりやすいというか、一緒に共感できるというか。chim↑pomはまったく私たちに寄り添わない、むしろ破壊しようとしてくるようなテンションだけれど、キュンチョメは一緒に考えてくれるかわいい友達、みたいな。勿論、私はchim↑pomも大好きで、いつも心をえぐられている。その近しさゆえに、キュンチョメの作品は、心にずしっとくる重さがあると同時に、懐かしさ、じわっとくる温かさが残る。これからもそういう作品を見たいなと思った。


新宿眼科画廊/2014/7/11-7/23
キュンチョメ個展「なにかにつながっている」